2011年9月10日土曜日

Review : DOXA SINISTRA


artist : DOXA SINISTRA
title : CONVEYER BELT
format : LP
label : Enfant Terrible (Netherlands) enfant12 2008

80年代初期オランダで活動していたエレクトロ・インダストリアル・バンド"DOXA SINISTRA"の2ndテープの再発アナログ盤。厳密に言えば実験精神溢れたインダストリアル・ノイズサウンドである。ベースシンセの歪みやうねりはほとんどエレクトロニクス・ノイズであるし、根底にあるリズムはエフェクトの掛け過ぎで歪んで捩じれてとても拍子をとる為の物でない。おまけに曲が進むにつれ、段々とカオス度が増していき、後半ではやたらと重々しい重工業系の金属打撃音や、メローなシンセサウンドに被せたボイスループのサンプリング音が入り交じってきたりする。なんだか80年代インダストリアルミュージックの創成期を垣間見させられるような興奮を疑似体験出来る。この時代の実験音楽はどれを聴いても自由度が高くて面白い。インダストリアルもエクスペリメンタルもノイズも、まだジャンルが区分けされていなかった時代であるから、ジャンルにあわせて音を作るのでなく、自分たちの感性と限られた機材だけを頼りに創作活動をしていたのであろう。B面の最後はループ溝でエンドレス使用であるが、オリジナルはカセットテープである事からこのギミックは再発に関して付随したものかな。ノイズ/エクスペリメンタル好きの方なら聞いて損はない作品である。


artist : DOXA SINISTRA
title : VIA DEL LATTE
format : LP
label : Enfant Terrible (Netherlands) enfant20 2011

こちらは82年にカセットでリリースされた1stカセットの再発アナログ盤。2ndに比べて小粒な楽曲が多く、効果音的な彩り溢れたサンプル集に似た構成ではあるが、やはりDOXA SINISTRAであるから軽く聞き流せるような楽曲は一つもない。メンバーは2人居るはずだが妙に音が所々スカスカであったり、音の組み合わせが脈絡なく意味不明な部分が多数ある。それが逆に細部まで聞き込む事が出来る要素となり、リピート再生した時にはまた新たな発見があったりする。アナログシンセが無作為に飛び交い、所々に掛けられるフィルターのエグイ音が非常に印象的である。それでいて妙にリズムがチープな部分があったりもする。アルバムの構成としてはデア・プランのサントラ「最後の惑星」(1983年)に近い印象を受ける。というかこのアルバムはボイスの乗せ方とかシンセ音の被せ方がデア・プランに似ているかも。DOXA SINISTRAと同時期に平衡して活動していた"Ende Shneafliet"というバンドも数本カセットテープをリリースしているのだが、こちらの方はダークウェーブ寄りの重く暗いサウンドである。その辺りの音源はこのEnfant Terribleレーベルから"Trumpet Days"と題されたコンピレーション作品にも収録されている。出来ればアナログ盤で聞いていただきたい作品群である。


0 件のコメント:

コメントを投稿